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献体17年

 

聖マリアンナ医科大学山百合会

 

昭和54年6月23日、聖マリアンナ医科大学に念願の篤志献体団体「山百合会」が、会員28名で正式に発足いたしました。おそらく全国で一番小さな篤志家団体ではなかったかとおもいます。その設立に先立ち、最初に手掛けたことが、聖マリアンナ医科大学に献体して戴ける篤志家の皆さんにふさわしい会名と、会を表徴するマークの選定でありました。何か良い案はないかとあれこれ迷った結果、全国の献体団体の大半がそのころ採用していた「花の名」ではという事になりました。ある朝、医学部本館前の創立者故明石嘉門先生の胸像を仰いだ折に、本学がキリスト教精神に基づいて創立されたことが思い返され、ある修道院のシスターから「聖書に『ユリの花を見よ』と書かれている」とお教え戴きました。これがヒントとなり、まず本学の所在地が百合ケ丘と呼ばれる丘陵の地続きにあること、また、ヤマユリの花は大きくて美しいばかりでなく、清らかで、高い香気があること、百合ケ丘の丘陵地帯の至る所に根強く自生することなどから、本会が着実に発展することを願って「山百合会」と名付けることになりました。ちなみに、ヤマユリは神奈川県の県花にも選ばれており、その花言葉は純潔であります。
山百合会役員は初代理事長として西川哲三郎氏が就任され、発足時の理事は本学名誉教授である南雲今朝雄氏、高橋賢一氏(昭和61年5月ご逝去)、西浦錦也氏、森本岩太郎氏が務めた。その後昭和60年に伊東つや子氏、鈴木伸吾氏(平成5年7月ご逝去)、高橋譲氏(平成8年3月定年退職)、昭和61年に鈴木堯氏、平成元年に本学泌尿器科学教授井上武夫氏、平成4年に織田千代子氏、田口英雄氏の各氏が理事に就任された。発足以来13年間理事長を務められた西川哲三郎氏は平成4年4月にご逝去された。第二代理事長には井上武夫理事が就任し、森本岩太郎解剖学教授は本学停年退職(平成6年3月)に伴い理事を退任、後任に平田和明解剖学教授が就き、現在理事は8名であります。
本会が設立されてから今日までに2,000名を越える方々が会員として登録され、このうち約16%に当たる328名の方が成願し、聖マリアンナ医科大学に献体されました。これは過去17年間における文部省基準解剖体所要数の約46%に当たり、「山百合会」の発展と充実を実感するところであります。
山百合会の機関紙「やまゆり」は本会の現況報告も兼ねて、会員各位からの原稿を掲載し、会員相互の掛け替えのない交流の場として、毎年1回定期的に発行され、着実に充実の途をたどり本年で第17号の発刊となります。
「山百合会」が会の表徴であるヤマユリのごとく、美しく、清らかに、力強く川崎の地に根を張り、益々発展することを祈念するとともに、今日まで山百合会に賜ったご関係各位および大学当局のご理解ご支援に深く感謝申し上げます。

 

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